前回は固定費の圧縮について書きました。2拠点を1拠点に統合して、毎月の出血を止めた話です。
今回はその続き、変動費の圧縮について。仕入れを一旦止めるという、ちょっと大胆な決断をした話を書きます。
変動費とは何か
変動費とは、売上や仕事量に連動して変わるコストのことです。固定費が「毎月必ず出ていくお金」なのに対して、変動費は「仕事をすればするほど増えるお金」です。
うちの会社の場合、変動費の中心は仕入れ代でした。農業用ハウスのメンテナンスや資材販売をやっているので、資材の仕入れが変動費の大部分を占めていた。
バケツの穴の話でいえば、固定費が大きな穴なら、変動費は中くらいの穴がいくつもある状態です。固定費を塞いだ次は、この穴を塞ぐ番でした。
まず気づいたのは「在庫が全く把握できていない」こと
変動費を見直そうとして最初にぶつかった壁が、在庫の把握でした。何がどれだけどこにあるのか、全くわからない状態だったんです。
倉庫に行くと資材が積み上げられているけど、何がどこにあるかの記録がない。種類も数量も管理されていない。これでは何を仕入れるべきかもわからない。
・在庫リストが存在しない
・どこに何があるか把握している人がいない
・過剰在庫なのか在庫不足なのかもわからない
・いつ何をいくつ仕入れたかの記録もない
この状態で仕入れを続けることは、穴の空いたバケツに水を注ぎ続けるようなものです。何が足りないかわからないまま仕入れても、無駄な在庫が増えるだけ。
思い切って仕入れを止めた。
そこで下した決断が「仕入れを一旦止める」でした。在庫が把握できるまでは、新しいものを入れない。まず今あるものを全部把握する。それが先決だと判断しました。
これは正直、勇気がいる決断でした。仕入れを止めたら仕事に支障が出るかもしれない。取引先に迷惑をかけるかもしれない。でも、このまま続けていても状況は改善しない。現預金20万円という現実を前にして、やるしかないと腹を決めました。
在庫の全数把握に取り組んだ
仕入れを止めた後、まず在庫の全数把握に取り組みました。倉庫の中を全部出して、種類ごとに分類して、数を数えて記録する。地味だけど、これをやるしかなかった。
STEP1:倉庫の資材を全部棚卸し
STEP2:種類・サイズ・数量を全てリスト化
STEP3:使用頻度が高いものと低いものを分類
STEP4:本当に必要な在庫量を把握
やってみると驚きの事実が出てきました。使われないまま長期間眠っている在庫が大量にあったんです。過去に大量仕入れしたまま放置されていたもの、もう使わない規格のもの。これらが倉庫の場所を取って、管理コストを生んでいた。
在庫把握後は「必要なものを必要な量だけ」に切り替えた
在庫の全数把握が完了した後、仕入れのやり方を根本から変えました。それまでは「なんとなく足りなくなりそうだから仕入れる」という感覚的な発注でした。それを「必要なものを、必要な時に、必要な量だけ」という原則に切り替えました。
変更前:感覚で仕入れる→過剰在庫が発生→お金が在庫に眠る
変更後:在庫を確認してから発注→必要最小限の仕入れ→キャッシュが残る
この変更によって、仕入れの支払い額を大幅に圧縮することができました。毎月の仕入れ額が減ったことで、手元に残るお金が増えた。現預金20万円という状況で、これは本当に大きかった。
変動費圧縮で時間を稼いだ
固定費の圧縮と変動費の圧縮を合わせることで、毎月の出ていくお金を大幅に減らすことができました。売上はすぐには上がらない。でも出ていくお金を減らすことで、時間を稼ぐことができた。
この「時間を稼ぐ」という感覚が大事でした。お金がない状況で最も怖いのは時間切れです。固定費と変動費を圧縮したことで、次の手を打つための時間が生まれました。
次回は、コスト削減で時間を稼いだ後に、売上を上げるために最初に取り組んだことを書きます。お金をかけずに売上を伸ばすために何をやったか、具体的に話します。



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