広告費ゼロで売上を伸ばした方法。倒産寸前の会社でやった3つのこと。

再建実践編

前回まででコスト削減の話を書きました。固定費・変動費を圧縮して、毎月の出血を止めた話です。
今回はその次のステップ。蛇口を捻る、つまり売上を伸ばすためにやったことを書きます。お金がない状況でどうやって売上を上げたか、具体的に話します。


お金がない時に新規集客はできない

売上を上げようとした時、最初に考えたのは「新規のお客さんをどう獲得するか」でした。でも現実を見たら、広告費をかける余裕はゼロ。チラシも、Web広告も、展示会も、お金がかかることは全部できない状況でした。

そこで考え方を変えました。新規集客にコストをかけるより、既存のお客さんをもっと大切にする方が先だと。新規客を1人獲得するコストは、既存客を維持するコストの5倍以上かかると言われています。お金がない今は、既存客のLTV(生涯顧客価値)を最大化することに集中する。それが正解だと判断しました。

既存客に「雑談」をしに行った。

まずやったのは、既存のお客さんのところに顔を出して雑談することでした。仕事の話じゃなくていい。天気の話でも、近況報告でもいい。とにかく顔を出して、話をする。

これは一見無駄に見えます。でも、この「無駄な雑談」が実は一番大事でした。

雑談の中から「そういえばあそこのハウスが傷んでて…」という話が出てくる。

「実は困っていることがあって…」という相談が出てくる。

つまり雑談は、仕事の種を拾いに行く行為でもあった。

営業というと、商品を売り込みに行くイメージがあります。でも実際は、お客さんの困りごとを聞きに行くことの方がずっと大事です。困りごとを知れば、それを解決する提案ができる。それが自然な受注につながっていきました。


依頼があれば迅速対応を徹底した。

雑談の中から仕事の話が出てきた時、最も大事にしたのが「迅速対応」でした。見積もりの依頼があればその日のうちに出す。小さな修理の依頼があればすぐに動く。とにかく困りごとに対して、誰よりも早く動くことを徹底しました。

・見積もり依頼→当日または翌日に提出

・小さな修理依頼→可能な限り即日対応

・問い合わせ→必ず当日中に返答

・困りごとの相談→まず現場を見に行く

なぜ迅速対応にこだわったかというと、信頼回復が目的でした。前の経営体制では、対応が遅いというクレームがあったようでした。そこを改善することで「あの会社、変わったな」と思ってもらうことが狙いでした。

実際、迅速対応を続けることで「ケンジロウさんに頼めばすぐ動いてくれる」という評判が少しずつ広がっていきました。これが口コミによる新規紹介にもつながっていきました。


工場の5Sを徹底して単価を10%上げてもらった

もう一つの事業である製造下請け作業では、別のアプローチを取りました。それが工場の5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)の徹底です。

元請けさんが工場に見に来るたびに、前回より綺麗になっている状態を目指しました。訪問のたびに「また綺麗になってますね」と言ってもらえるくらいを目標にして、毎日少しずつ改善を続けました。

・工具や資材の定位置を決めて整理整頓

・床の清掃を毎日実施

・作業手順を標準化してミスをゼロに

・元請けが来るたびに改善が見えるように

この取り組みの結果、今まで棚卸し時に発生していた損失をゼロにすることができました。作業手順を徹底したことで、ミスや無駄が減ったからです。

そして、この実績を持って元請けさんに単価交渉をしました。「損失をゼロにしました。品質も上がっています。単価を見直してもらえませんか」と。その結果、単価を10%上げてもらうことができました。

数字で実績を示して交渉する。これが単価アップの唯一の正攻法だと今でも思っています。


売上を伸ばすためにやったことの本質

振り返ってみると、やったことはどれも派手なものじゃありません。雑談しに行って、迅速に動いて、工場を綺麗にした。それだけです。

でも、これが本質だと思っています。お金がない時こそ、お金をかけずにできることを徹底してやる。誠実に、地道に、小さいことを積み上げる。それが結果につながっていきました。

蛇口を捻るというのは、大きな装置が必要なわけじゃない。今あるものを丁寧に使うことで、水の出方は変わっていく。そういうことだと思っています。

次回は、1期目に150万円の黒字を出せた本当の理由について書きます。

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