結論から言います。危険です。いや、もっと正確に言うなら、危険すぎます。
実際に債務超過の会社を引き継いで経営してきたからこそ言えます。何が待っているのか、全部正直に書きます。
債務超過の会社を引き継ぐと何が待っているのか
「事業自体は悪くなさそうだし、なんとかなるだろう」と軽い気持ちで承継しようとしているなら、一度立ち止まってください。「なんとかなるだろう」で引き継ぐには、あまりにも背負うものが大きい。
リスク①
融資を受けにくい
会社を立て直すには設備投資・仕入れ・採用などお金が必要になります。でも債務超過の会社は金融機関から見れば「財務的に厳しい会社」。「改善したいけどお金を借りられない」という状態になりやすい。投資して売上を伸ばすという選択肢自体がなくなる可能性があります。
リスク②
キャッシュが潤沢にない可能性が高い
財務状態が悪い会社は手元資金にも余裕がないことが多い。材料の仕入れ・給料・税金・借入返済・設備の修理。これらの支払いは待ってくれません。「今月は利益が出ました!」と言っても、口座にお金がなければどうにもなりません。
リスク③
赤字が常態化している可能性が高い
赤字が何年も続いた結果として債務超過になっている会社もあります。この場合、会社を引き継げば終わりではなく「ここから赤字を止めるところからスタート」です。引き継いでから「利益を出すこと」の重要性を嫌というほど考えさせられます。
リスク④
社内が乱れている可能性がある
数字が悪い会社は数字だけが悪いとは限りません。お金の管理ができていない・社員とのコミュニケーションが取れていない・仕事のルールが曖昧・整理整頓されていない。こういった「会社の中身」の問題が積み重なった結果、財務が悪化しているケースもあります。数字を直せば会社が直るわけじゃないと実感しました。
リスク⑤
建屋・設備・社用車が老朽化している
利益が残らない会社は設備に十分なお金をかけられません。建屋が古い・社用車が古い・工具が壊れかけている。先代の時代に先送りされていた問題が、引き継いだ瞬間に一気に自分のところにやってきます。「これ、誰が直すんだ?」となります。
リスク⑥
取引先・お客さんとのトラブルが溜まっている可能性がある
請求金額の認識の違い・品質の問題・納期トラブル・昔からの取引先との関係悪化。「今日から新しい社長なので全部リセット!」とはなりません。前の社長の時代の問題を、新しい社長が引き継ぐことになります。これが事業承継の怖いところです。
だから「危険一択」と言いたい
債務超過の会社を引き継ぐということは、単純に会社を一つ引き継ぐ話ではありません。過去の借金・過去の赤字・設備投資不足・人間関係・お客さんとのトラブル。そういったものまでまとめて引き継ぐ可能性があります。
「債務超過の会社を承継するのは危険ですか?」
→ はい。危険です。危険すぎます。危険一択です。
少なくとも、何も知らない状態で引き継ぐのは絶対におすすめしません。
承継する前に必ず財務状況を自分で確認してほしい
ただし「債務超過だから絶対に承継してはいけない」という意味ではありません。承継するなら、まず会社の財務状況を自分自身で理解してください。
「税理士さんに任せているからよく分からない」では危険です。自分がこれから背負う会社なんだから、自分で数字を見られるようにする。これくらいの気持ちは必要です。
□売上
□営業利益
□経常利益
□現預金
□借入金
□純資産・自己資本比率
□債務超過額
□営業キャッシュフロー
□役員貸付金の有無
それでも、債務超過の会社を引き継ぐメリットはある
ここまで散々「危険だ」と言ってきました。じゃあなぜ自分が今も続けているのか。逆の面もあります。それは、改善するところが山ほどあることです。
・無駄な経費がある → 削れる
・仕入れ価格が高い → 見直せる
・販売価格が低い → 上げられる
・仕事のやり方が非効率 → 変えられる
・在庫が多い → 減らせる
・社内が乱れている → 整えられる
改善点が山ほどある = 伸びしろが山ほどある。
利益が出ている優良企業では、この改善余地を見つけるのは難しい。
債務超過はゴールではなく「今までの結果」
債務超過という数字を見ると「この会社はダメだ」と思うかもしれません。でも債務超過は「これまで会社に利益が残らなかった結果」に過ぎません。
大事なのは「なぜ債務超過になったのか」と「これから利益を残せる会社に変えられるのか」です。
債務超過の会社を承継すること自体は危険。これは間違いない。
でも、危険だからこそ承継前に徹底的に調べる。
承継すると決めたなら、地道に一つずつ改善する。
「なんとかなる」で飛び込むのではなく、
「ヤバいことを全部把握した上で、それでもやる」と決めてから飛び込む。
これくらいの覚悟は必要だと思います。



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