運転資金とは何か、深掘りします。売上が2倍になって倒産する理由。

再建実践編

売上が2倍になったのに倒産する。これは現実に起きる話です。
運転資金を理解していないと、事業拡大が命取りになる。具体的な数字で全部説明します。

この記事の結論

  • 運転資金は、売上が入ってくる前に先に出ていくお金
  • 売上を2倍にすると運転資金も増える。手持ちのお金が足りなければ倒産する
  • 拡大する前に必要な運転資金を計算し、足りなければ借り入れで確保してから拡大する

運転資金とは何か

運転資金とは、会社を運営していく上で必要なお金のことです。もう少し踏み込むと、会社が立て替えて先に出ていくお金という理解が正確です。

運転資金 = 売上が入ってくる前に、先に出ていくお金

仕入れ代・外注費・人件費・固定費など

売上は後から入ってくる → でもこれらは先に払わないといけない

この「先払い」のためのお金が運転資金です。

具体的な数字で理解する

農業用ハウスの張り替え工事を例に説明します。1件30万円の工事を月10件やるケースです。

月10件・売上300万円の場合

フィルム・部品の仕入れ代100万円

外注費50万円

社員の給料25万円

自身の役員報酬25万円

その他固定費10万円

先に出ていく運転資金の合計210万円

売上300万円は翌月末以降に入ってくる予定です。でもこの月に300万円の売上を作るために、先に210万円が出ていく。この210万円が運転資金です。

売上が2倍になって倒産する仕組み

ここからが一番重要な話です。「やるぞ!売上を2倍にするぞ!」と月20件に拡大したとしましょう。

月10件(現状)

売上:300万円
運転資金:210万円
手持ちキャッシュ:210万円

✅ 問題なし

月20件(2倍に拡大)

売上:600万円(2倍!)
運転資金:360万円
手持ちキャッシュ:210万円

❌ 150万円足りない→倒産

月20件に拡大した場合の運転資金

仕入れ代(2倍)200万円

外注費(2倍)100万円

社員の給料(変わらず)25万円

自身の役員報酬(変わらず)25万円

その他固定費(変わらず)10万円

必要な運転資金の合計360万円

手持ちキャッシュとの差額(不足分)-150万円

売上が2倍の600万円になっても、先に360万円が必要なのに手持ちは210万円しかない。150万円足りない。支払いができない。倒産です。

売上2倍 → 喜んだ

→ 運転資金も増加 → 手持ちキャッシュが足りない

→ 支払いができない → 倒産

「売上が上がったのになぜ?」という状況がここで生まれます。

事業拡大する時のセオリー

事業を拡大する時は必ずこの順番で確認してください。

① 拡大後に必要な運転資金をざっくり計算する

② 手持ちキャッシュで足りるか確認する

③ 足りない場合は金融機関で運転資金として借り入れする

④ 資金が確保できてから拡大する

ケンジロウ
ケンジロウ

この順番を守ることが、売上2倍で倒産を防ぐ唯一の方法です。

運転資金の借り入れは、事業拡大のためのポジティブな借り入れです。以前書いた「無借金経営より実質無借金経営がベスト」の考え方と合わせて、運転資金を確保した上で拡大していくことが経営の安全な進め方だと思っています。

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