経営者になって変わった思考法、第3回は人との向き合い方です。
特別なことはやっていません。ただ一つ、どんな人に対しても「聞くことから始める」を徹底しています。なぜそうするのか、どう実践しているのかを書きます。
情報がないと手の打ちようがない
経営をしていて痛感することがあります。それは、情報がないと何に関しても手の打ちようがないということです。
お客さんが何に困っているかわからなければ、提案できない。社員が何を感じているかわからなければ、改善できない。銀行や税理士が何を見ているかわからなければ、準備できない。
全ての行動は情報から始まります。そして情報を得るための最も確実な方法が、聞くことでした。だから自分はどんな人に対しても、まず聞くことから始めるようにしています。
聞くことから信頼が生まれるサイクル
「聞く」というと単純に聞こえますが、実際には一つのサイクルになっています。
① じっくり聞く
② 疑問を投げかける(ちゃんと聞いている印象になる)
③ 教えてくれる
④ 教えてくれたことに感謝する
⑤ 教わったことを実践してみる
⑥ そのフィードバックをネタにまた話をする
⑦ この繰り返しの中で困っていることを聞き出せる
⑧ その困りごとを解決する → 信頼が生まれる
このサイクルを回し続けることで、相手との関係が深まっていきます。お客さんでも、社員でも、銀行担当者でも、このサイクルは同じです。聞くことは信頼構築の第一歩だと、経営を通じて確信しています。
知ったかぶりは信頼を損なう
聞くことに関連して、もう一つ意識していることがあります。疑問があったら素直に聞くということです。
知らないことを知ったかぶりするのは、一見賢く見えるかもしれない。でも実際には、後でボロが出る。そしてそのボロが出た瞬間に、信頼が一気に崩れる。
知らないことを「知らない」と言える方が、よほど誠実です。素直に聞けば教えてもらえる。教えてもらえれば成長できる。知ったかぶりをやめて素直に聞くようになってから、周りの人との関係が確実に良くなりました。
知ったかぶり → 後でボロが出る → 信頼を損なう
素直に聞く → 教えてもらえる → 信頼が積み上がる
事前準備は相手への礼儀
聞く姿勢と同じくらい大事にしていることがあります。それは事前準備です。
銀行との打ち合わせ、税理士との面談、お客さんとの商談。どんな場でも、事前にある程度準備してから臨むようにしています。
ふわっと始まって、あれこれ考えながら話す。そういう打ち合わせは、相手の時間を無駄に奪うだけです。他人様の時間を奪うことへの感覚が、経営者になってから特に敏感になりました。自分も時間が大事だから、相手の時間も同じように大事にする。その気持ちが、事前準備という行動に出ています。
準備して臨む姿勢は、相手に「この人は真剣だ」という印象を与えます。それ自体が信頼につながっていきます。
聞き方の工夫。リアクションは小さく、でも確実に
聞く時に一つ工夫していることがあります。それはリアクションのサイズです。
リアクションがまったくないと、聞いていないように見える。逆に大げさすぎるリアクションは、わざとらしく感じさせてしまう。
リアクションなし → 「聞いてないのかな?」という印象
大げさなリアクション → 「わざとらしい」という印象
小さく、でも確実なリアクション → 「ちゃんと聞いてくれている」という安心感
うなずき、相槌、表情。小さくても確実に反応することで、相手は「ちゃんと聞いてもらえている」という安心感を持てる。その安心感が、もっと話してくれるという行動につながっていく。
聞き方一つで、相手から得られる情報の量と質は大きく変わります。
聞くことは最強の経営ツール
振り返ると、経営再建の中で一番役に立ったスキルは「聞くこと」だったかもしれません。お客さんの困りごとを聞き出して解決する。社員の状況を聞いて対応する。銀行や税理士から知識を引き出して経営に活かす。
聞くことはコストゼロで、すぐに始められる最強の経営ツールです。話すより聞く。それだけで、人との関係は確実に変わっていきます。
次回は、経営者になって変わった「リスク」への向き合い方を書きます。会社員時代とは全く違うリスクの感覚になった話です。



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